「MaaSとは?」をこれ1冊で理解!「Beyond MaaS」の感想【中編】

Vehicle Autonomous
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「MaaSとは?」をこれ1冊で理解!「Beyond MaaS」の感想【前編】の続きです。

各章のざっくり感想後編

さて、前回に引き続き、本の章ごとにざっくり感想を書いていきます。

私のフィルタを通しますので、真実が知りたい場合は書籍を購入してください。

『4 MaaSビジネスの創り方』の感想

この章では「MaaSが生み出す価値」と「MaaSビジネスの要点」について書かれています。

ステークホルダーは、(1)ユーザー、(2)交通事業者、(3)MaaSオペレーター、(4)地域の事業者や自治体、が挙げられています。

読んでいて「なるほど」と思いながらも不安をおぼえたのは、(1)~(4)のステークホルダーは、それぞれ自身がステークホルダーであることをどの程度自覚しているのか?というところです。

各々が自身に「どんなメリットが生まれるか?」ということが理解できていないと、MaaSに本格的に取り組む動機が形成されないんですよね。

特にMaaSのように新しいものが生み出す価値というのは説明が難しいです。

目の前に存在しない新しいものに対しては頭の中でのシミュレーションしかできないので、「やったぁぁ!これは価値があるぞぉぉぉ!」という感情は想像力が無いと湧いてきません。

(1)~(4)のステークホルダーにどんなメリットが生まれるか?という部分をストーリー立てて想像することで「MaaSが生み出す価値」に気づけると思いますが、大抵の人はそれが面倒でスルーしてしまうんですよね。ガラケーを握りしめながら。

「MaaSが生み出す価値」については、本書に具体的に書かれているので気になる方は購入して読んでください。

私が個人的に「気づいてるとこ少ないからここブルーオーシャンかも」と思っているのが(4)地域の事業者や自治体です。もう、ストレートに言うと地方自治体です。

あくまで私見ですが、圧倒的に新しい情報へのキャッチアップができていない割合が多いので、ちょっと本腰入れて競争すればぶっちぎれる業界です。

なぜなら、このコロナ騒ぎでもリモートワークが一番普及していないホワイトカラーの業界ということからもおわかりのとおり、新しい技術を理解し使いこなすことへの意欲が最も低いと感じられる業界だからです。(あくまで私見です!)

今回、国交省や経産省が積極的に動いていますが、末端の自治体ではまだ「まあ・・・す?なにそれ?」というところが多いはずです。

路線バスやタクシーが撤退して切羽詰まっている自治体はMaaSよりも自動運転にアンテナを張っているでしょうし、困っていない自治体は不足に気づいていないので、結果、今すぐにMaaSに本気になった自治体がぶっちぎれる、競争が楽な状態になっています。

ただ、そういった自治体がまったくのゼロかというとそうではありません。

同じ地域に属する自治体と交通事業者が同じ未来を共有できないと、このMaaSは実現できないので、ある意味、奇跡的なマッチング成功が起きているのがMaaS先進自治体です。

MaaS先進自治体は2019年のスマートモビリティチャレンジを見ればわかります。

あとは、地方の交通事業者でもGTFSにすら対応できていないようなところもありますので、自治体だけがキャッチアップできていないわけではないのですが。

ただ、チャレンジできるほどの体力が無い交通事業者も多いのは事実です。

ここらへんは、有名馬車メーカーが自動車に駆逐された歴史をたどるものと思っています。

で、「MaaSビジネスの要点」ですが、本書では3つの領域に分けて解説しています。

ユーザーとの接点になるMaaSアプリなどの「MaaS基本領域」、移動の効率化や快適性の向上などモビリティの深化の「Deep MaaS領域」、他産業を巻き込んでビジネス展開する「Beyond MaaS領域」の3つです。

私が思うには、MaaSアプリはユーザーの財布に直結するので、アプリを提供する企業はなんだかんだで影響力が強いポジションになると思っています。

そして、ほかの2つの領域は、MaaSアプリとの連携の仕方を色々と駆け引きしながら進めていくことになるのではないでしょうか。

私見ですが、最終的には3~5のMaaSアプリに集束していくのではないかなぁと思っています。

表向きはホワイトレーベルなども含めていくつもあるように見えますが、グループ的には3~5系統くらいかなぁと予想しています。

それぞれのサービスで水平分離にはなると思うのですが、MaaSアプリがスーパーアプリ化してしまうと思うので、1~2がスーパーMaaSアプリで多数を占めて、あとはニッチなサービスで生き残る状況かな、と考えています。

ちなみに章末には、「Jelbi(イェルビ)」を提供するTrafiのクリストフ・シュミンケ氏と、「Zipster(ジップスター)」を提供するモビリティXのコリン・リム氏のインタビュー記事2つがあります。

これを読んでも、やっぱりユーザーのすそ野を広げるにはMaaSアプリはスーパーアプリ化していくと感じてしまうんですよね。

『5 MaaSで導く交通業界の成長戦略』の感想

既存プレーヤーである鉄道、バス、タクシー、航空のMaaS時代における役割、課題、アクションプランについて説明している章です。

バスの課題で言及されているのですが、「バスあるある」として「地域住民に特化したサービスになりがち」ということが指摘されています。

バスって、路線やバス停の読み方がわかりづらくて、普段使っている地域住民しか理解できないよね、という内容です。

これってMaaS以前からある問題でもありますが、地域住民でもわからなくてバス利用を避けるということが十勝バスのV字回復ストーリーでも語られていましたから、バスってかなり初見殺しな公共交通機関なんでしょうね。

これはなんとなくわかります。

そして、鉄道も程度の差はあれど同じ問題はありますよね。新宿駅とかダンジョンですもんね。

私見になりますが、MaaSを普及させるには、頭の良い人向けのサービスではなく、頭の良くない人でも使えるサービスにする必要があると思っています。

特にUIの部分では、直近のMaaSがスマホアプリで提供される前提である以上、多くの高齢者のようにスマホに不慣れなユーザーは取り込めません。

いつの時代になるかわかりませんが、対話形式で提供できるMaaSのUIっていずれ本流になると個人的には考えているんですよね。

そうなったらおそらくMaaS以外のUIとしても本流になっちゃうんでしょうけど。

イメージとしては、弐瓶勉先生の作品「BIOMEGA」に出てくるカノエ・フユというAIですね。

それと、MaaSで各交通機関がつながるようになると、地域として効率的な交通網をどのように形成していくかということがより重要になってきます。

やっぱり自治体がまとめ役にならないと進まないと思うんですが、今の時点で自身の役割を認識している自治体がどれだけいるかですよね。

『6 自動車業界激変!CASEの出口としてのMaaS』の感想

この章はかなり大事なことが書いてある章です。

詳しくは買って読んで欲しいので、私は感想だけ書きます。

まず、CASE(コネクテッド化、自動運転化、シェア&サービス化、電動化)による影響についてしっかり理解しておかないと、MaaSが出口戦略になる必然性が理解できないと思います。

よくある勘違いが、マイカーにそのまま自動運転機能が付加されるだけだと思っているケースです。

CASEの時代はマイカーなんて一部のお金持ちが所有できるだけで、基本はタクシーみたいな使い方になりますよ。

水平エレベーターだと思ってください。

エレベーターは建物に付属してますが、自動運転タクシーは地域に付属する乗り物になります。

そもそもマイカーって9割以上の時間が駐車中ですから、資産の使い方としては非常に効率が悪いんですよね。

「自動車」を名乗りながら、動いてない時間のほうが多いし、人が運転しなきゃならないし、名前負けというか、まだ完全体じゃないんですね。

「自動車」にはまだポテンシャルがある。

で、自動車が次の形態になるときには色んなところに影響が出て変わっていきますよ、ということが書いてあるのがこの章です。

製造、販売、整備、保険のそれぞれで根本的な構造変化が起きますよ、という内容ですので、ぜひ読んでみてください。

あと、インタビュー記事はGOJEK(ゴジェック)のリエン・チョン・ルエン氏です。

スーパーアプリのお話が書いてあります。

本当は前編・後編で終わらせようと思ったのですが、書ききれなかったので、後編はまた今度。

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