【まだ間に合いマース!】2020年のビジネスマンなら常識!バズワードで終わらない「MaaS」とは?【ざっくり解説】

Smartphone Control Social Distance
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2019年は令和元年であるとともに「MaaS元年」なんてことも言われていたぐらい新聞やニュースでもよく「MaaS」という言葉を目にするようになりました。

2020年になっても「MaaS?なにそれ?」レベルのビジネスマンは、ちょっとあせったほうがいいと思います。

MaaSが世の中にあたえるインパクトは、馬が自動車になったくらい、電話とFAXがインターネットになったくらい、社会構造と常識を変えるとてつもない影響力があります。

自動車関連の企業や交通関連の企業だけじゃなく、官公庁、建築・土木業、情報通信業、不動産業、飲食業、エンタメ産業などなど、ありとあらゆる産業に大きな変化をもたらす可能性があるのがMaaSです。

しかも、自動運転(CASE)の進化も同じ時代に起きていることで、私たちが暮らしている社会が嵐のような転換期に直面しているということを認識してください。

さて、そんな時代を目の前にしていることに気づかずまだ何も準備ができていない人に、今からでも間にあうMaaSの知識と、今後の情報の集め方をご紹介します。

MaaSってどんな意味?

「MaaS」(マース)は「Mobility as a Service」(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略で「移動をサービスとして提供すること」を意味します。

でも「移動をサービスとして提供する」といってもいまいちピンとこないですよね。

「アズ・ア・サービス」って?

この「アズ・ア・サービス」というのは、IT業界ではよく見る言葉ですね。

今まで所有していたもの(サーバ構築やネットワーク構築に必要なハードウェアやソフトウェアなど)を、時間単位や処理単位の料金で使用できるようにしたサービスのことを言います。

「IaaS」「PaaS」「SaaS」などの言葉がありますが、クラウドサービスの分類だと思ってください。

なんでもかんでもサービス化していくので、「XaaS」という表現をすることもありますが、根底にあるのは所有から利用へという考え方です。

ちなみに、Amazonはネット通販事業以外にもAWSというクラウドサービス事業をやっていますが、営業利益だけで言えばネット通販よりも上だそうです。

もはやAmazonはネット通販の会社ではなくクラウドサービスの会社と言っても過言ではありません。

身近な「アズ・ア・サービス」

じつは、もっと身近なもので「アズ・ア・サービス」をイメージしやすいものがあります。

それは「電気」です。

太陽光発電を導入している家が増えたとは言え、それでもまだ発電所(電気を作る設備)を持っているご家庭は一般的ではないですよね?

電気(サービス)だけを供給してもらって利用料を支払うのが一般的ですよね?

言い換えるなら「発電・アズ・ア・サービス」です。

利用者にとっては発電所そのものは必須ではなく、電気というサービスだけが必要とされているので、「所有する」ではなく「利用する」ビジネスモデルになっている、とも解釈できます。

つまり「MaaS」って?

人々が本当に必要としているのは「モノ」ではなく「サービス」です。

「ドリルを売るには穴を売れ」という本もありますが、人々がお金を払っているのは「A地点からB地点まで移動する」という価値に対してであって、「バスに乗ること」や「マイカーを所有すること」ではありません。

MaaSは「A地点からB地点まで移動する」という価値を、「所有すること」ではなく「利用すること」で提供する仕組みと考えてください。

MaaSで何が変わる?

わかりやすくざっくり言いますが、MaaSが世の中に普及すると、

  • 経路検索、予約、決済がMaaSアプリですべて完結
  • バス、電車、タクシー、レンタサイクルが定額で乗り放題

になると言われています。

たとえば、こんな未来を想像してみてください。

今日は休日、最近ファンになったミュージシャンがライブをやるので、16時までにライブ会場へ。

MaaSアプリで自宅からライブ会場までの経路を検索すると、バスで駅まで行き電車を2回乗り継ぐ経路が示された。
乗り換えの時間もちゃんと出ているので開演までには十分間に合いそう。

バスの運賃支払いと駅の改札はスマホで通過。

電車に乗っているとMaaSアプリに通知が来た。
乗り換え予定の次の電車が運休になっているらしい。

MaaSアプリでは代わりの経路をいくつか提案してきた。
このうち、開演時間に間に合いそうなルートにしぼりこみ、乗り換え予定の一つ前の駅で降りてバスに乗るルートを選択。

なんとか開演に間に合った。

ライブ後、居酒屋に寄ったので遅くなり、バスはもうない。
MaaSアプリで自動運転タクシーを呼んで乗り込む。

車内のディスプレイに、さっきのライブで演奏されていた新曲の広告が表示された。
早速ダウンロードし、聴きながら帰った。

いろいろ予定が変わったけど、追加で支払ったのは居酒屋の食事代とタクシーで買った新曲の代金だけ。

交通費は翌月、スマホ料金といっしょにクレジット払いで引き落とされた。

こんな未来があと数年後には現実になるかもしれません。

MaaSを語れるようになるキーワード

さて、ここまでの理解だけだと、ビジネスマンとして話すにはちょっと弱いです。

MaaSを知らない上司に「MaaSについて説明してくれ」と言われて説明しても「本当か?それはお前の妄想じゃないのか?」と言われかねません。

MaaSをしっかり語れるようになるには、MaaSを構成するいくつかのキーワードエピソードを押さえておくほうが賢明です。

頭のいい人はキーワードを見ただけで「ああ、なるほどね」と理解すると思いますが、世の中そんな人ばかりじゃないんで、3つくらいはおぼえておいてください。

マルチモーダル

「マルチモーダル」とは、「マルチ」(複数の、多様な)と「モーダル」(様式の、様態の)が組み合わさった言葉ですが、MaaSの文脈においては複数の移動方法が連携していることを言います。

A地点からB地点までを移動するのに、複数の経路や複数の乗り物から選択することができ、それでいて一体の移動サービスとして提供するというのがMaaSです。

反対に「A地点からB地点まで定額で電車で行けます!」というのはMaaSではなく、ただの定期券です。

サブスク

「サブスク」はよく耳にすることも多いと思いますが「サブスクリプション」の略です。

利用する権利に対して期間に応じて料金を支払う方式です。

まさに「所有から利用へ」を実践しているビジネスモデルです。

今の交通機関は移動する距離に応じて、乗り物ごとに支払っていますが、MaaSでは一定のエリア内、一定の利用回数であれば定額という支払い方式になると言われています。

これって、身近なものでありますよね?

そう、スマホの利用料です。

ある程度の通話やデータ通信であれば定額で使えますよね。

MaaSは、スマホのような定額支払いのものと組み合わせて提供する、と考えている人たちもいます。

たとえば、不動産賃貸との組み合わせは海外で事例があるそうです。

フィンランド・ヘルシンキ

MaaSを生み出し、世界で最初に社会実装したのはフィンランドの首都ヘルシンキです。

いかにマイカーの利用を減らし公共交通の利用を増やすか、という課題の解決策としてMaaSが誕生しました。

自動車産業がないフィンランドでは、マイカーを持つということはお金が外国に流出することにつながります。

また、マイカーによる都市部の交通渋滞というのも都市経営の上で大きな課題だったそうです。

これを解決するために、ITに強いフィンランド(ノキアなどが有名)の技術力で作られたのが「Whim」というMaaSアプリです。

2019年末ごろからに日本で実証実験を始めており、2020年の春にはサービス開始と言われています。

MaaSをわかっている感を出せるフレーズ

さて、キーワードの次は、さらに「この人わかってるな」感を出すフレーズをおぼえていきましょう。

ちなみに、2020年3月時点ならまだ通用するフレーズなので、その後も使えるかどうかはニュースなどを見て判断してください。

「トヨタでさえ自動車会社じゃなくてモビリティ・カンパニーになったんだから」

トヨタでさえ自動車会社じゃなくてモビリティ・カンパニーになったんだから

これは、MaaSに対応する準備ができていない危機感の欠如した上司や取引先にぜひ言いたい言葉です。

世界有数の自動車会社であるトヨタは、2018年にラスベガスで開催された家電見本市CESで「自動車を作る会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」と宣言しました。

本業を変える宣言ですので、相当な覚悟だと思います。

MaaSが世の中に浸透していくと、自動車の存在は「所有から利用へ」と変化していきます。

つまり、誰もマイカーを持たなくなる世の中になり、一般消費者向けの自動車の製造、販売はどんどん縮小していきます。

今までトヨタ車に使っていたお客さんのお金はどこへ行くかというとMaaSに使うことになるのです。

トヨタはそこに危機感を感じて、MaaSの業界でもポジションを取りに行く決意をしたのだと思います。

事実、トヨタはMaaSの実証実験を2018年から行っており、MaaSアプリも出しています。

まさに「ドリル」ではなく「穴」を売る視点で切り替えてきているのです。

日本トップの大企業が危機感を抱くほどの転換期が今なのです。

ちなみに、トヨタは「100年に一度の大変革の時代」という言葉を使っていますが、1900年のニューヨーク5番街では馬車が多く走っていたのに対し、1913年にはほとんどが自動車になっていました。

自動車にシフトできなかった馬車メーカーの多くは仕事を失ったそうです。

そんなエピソードも交えて「部長!トヨタでさえ自動車会社じゃなくてモビリティ・カンパニーになったんですよ!」とプレゼンしてみましょう。

「小田急さんは早いよね」

小田急さんは早いよね

小田急電鉄は、国内の交通事業者の中ではMaaSへの取り組みスタートが早かったところです。

MaaSの共通データ基盤「MaaS Japan」をヴァル研究所(経路検索サービスの「駅すぱあと」で有名)と共同開発することを発表したのが2019年の4月でした。

じつはこの「共通データ基盤」というのが重要なポイントで、これがあることによって複数の交通機関やアプリが連携しやすくなるのです。

MaaSを日本社会に実装するには多くのプレーヤーが参加しなければ進まないのですが、それぞれが勝手に開発すると連携が取れない不便なサービスが出来上がってしまいます。

それなら各社のデータが同じルールで連携できる場所を作りましょう、というのが共通データ基盤の考え方です。

小田急電鉄は共通データ基盤「MaaS Japan」を実稼働できるレベルに作り上げ、2019年の10月にはMaaSアプリの実証実験を新宿と新百合ヶ丘で開始しておりました。

これは驚異的なスピードです。

目の付けどころ、稼働させるまでのスピード、小田急さん早いです。

ちなみに、ヘルシンキでは交通機関が公営だったので、データ連携はそれほど難しくなかったようですが、日本は民営の交通機関がほとんどです。

各社がそれぞれの思惑で連携を始めてしまうと、交通系ICカードのようにガラパゴスなサービスが乱立して、その後の連携のハードルが上がるという状況が容易に予想できます。

国交省も同じような心配をしていたようで「共通データ基盤の共通仕様を決めましょう」ということで、2020年3月に「MaaS関連データ連携のガイドライン」を発表しています。

このガイドラインは「MaaSでデータ連携する場合はこんなルールでやりましょう」というものです。

MaaS Japan以外にもMaaS共通データ基盤を開発している企業がありますが、「MaaS共通データ基盤同士もこんなルールで連携できるようにしましょう」というガイドラインになっていますので、ガラパゴスな乱立は避けられそうです。

「やっぱGoogleが本気出したら勝てないよね」

やっぱGoogleが本気出したら勝てないよね

これは、お仕事でMaaSの話をする時によく出てくるのですが、MaaSでもGoogleは驚異です。

GoogleはすでにGoogleMapという経路検索のサービスを持っていますし、GooglePayという決済の仕組みも持っています。

利用者との接点もGoogleアカウントがありますし、Google傘下のWaymoの自動運転タクシーはアメリカで営業運行が開始されています。

あとは国内の交通事業者を束ねられれば、MaaSを提供する仕組みはそろってしまいます。

Googleは交通事業者からすでにデータを受け付けているのはご存じでしょうか?

これはMaaSのためというよりはGoogleMapの経路検索のためのものですが、Googleが開発したGTFS(General Transit Feed Specification)という公共交通機関の時刻表データがデファクトスタンダードになっています。

交通事業者はGTFSデータを公開することで、GoogleMapなどの経路検索サービス上で路線情報が表示されるようになるのです。

このように、GoogleはすでにMaaSを構成する重要なパーツのほとんどを持っているように見えます。

あとはスピーディにサービスを組み立てる段階まで来ているはずなのに何もそれらしい動きがないように見えるのが怖いところです。

国内のMaaS事業者は「Googleに本気出されたら勝てないから、本気出される前にぶっちぎろう!」と考えてるのではないでしょうか。

ちなみに、もしこれを読んでいる方が交通事業者の方で、自社がGTFSデータを公開するなどインターネット対応できていないレベルであれば(「ホームページで時刻表のPDFを公開してます!」は対応できてるうちにはいりません)、MaaSの時代には生き残れないことを覚悟したほうがいいです。

各業界への影響は?

建築・土木業

建築・土木業への影響としては、マイカーを前提としない設計になると予想しています。

たとえば大型商業施設なら、駐車場が減りバスやタクシー乗り場が増えると思われます。

道路は、路車間通信できるようなスマート道路が増えると思います。

住宅は、車庫やカーポートが不要になるので、外構のリフォーム需要が一時的に増えるかもしれません。

不動産業

不動産業への影響としては、MaaS付き賃貸が増えるかもしれません。

海外では家賃にMaaSの月額利用料が含まれる物件があるそうです。

駅近物件じゃなくても交通の利便性が確保できるようになれば、不動産の価値も変わるかもしれませんね。

飲食業

飲食業への影響としては、クーポンなどでの連携が予想されます。

MaaSは移動情報が集積されますので、お店に寄ってくれそうな人へのアプローチ精度が高まります

あと、自動運転も加われば郊外の居酒屋にも勝機が見えてきます。

エンタメ産業

エンタメ産業は、メディアの接触時間を増やすチャンスです。

自ら運転する人が減りますので、移動中の時間は別のことに費やすことができます。

コンテンツを消費する機会が増えますので大チャンスです。

もっとMaaSのことがわかる本ってある?

このページに書いてあることはざっくりとした概要なので、本でしっかりとした知識を得ることをおすすめします。

人気のMaaS本はこれ

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

初めて読むならまずこの本をおすすめします。

2018年11月発行の本なので最新の情報は入っていませんが、だいたい本に書かれた通りに世の中は進んでいますので、読んでおくべき本の一つです。

Beyond MaaS 日本から始まる新モビリティ革命 ―移動と都市の未来―

「MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ」の続編です。

2020年3月発行ですので当然新しい情報も含まれていますが、前作から1年4か月でMaaS界隈は激動の変化が起きていたことがわかります。

そして、その変化は今も速度を増して進んでいます。

上記とセットで読むことをオススメします。

時間が無い方やお金が無い方は、一冊だけ選ぶならこの一冊です。

MaaS入門: まちづくりのためのスマートモビリティ戦略

2019年8月発行です。

海外の事例が多く紹介されています。

モビリティー進化論

2018年1月発行です。

コンサルティングファームのアーサー・ディ・リトル・ジャパンが書いています。

自動運転にも触れています。

グラフや図解が多くわかりやすいです。パワポ資料を作る時の参考になります。

Mobility 3.0: ディスラプターは誰だ?

2019年6月発行です。

こちらもコンサルのアクセンチュアが書いています。

自動運転にも触れており、各業界の戦略などが参考になります。

読んでおきたい関連本

MaaSそのものについてではありませんが、隣接する知識として押さえておきたい本は以下の2冊です。

スマートモビリティ革命

未来型AI公共交通サービスの「SAVS」について書かれている本です。

SAVSを使った実証実験は、デマンドタクシーの経路最適化などで各地で行われています。

MaaSを構成する要素として重要なポジションをとる技術と予想しております。

Smart City 5.0 地方創生を加速する都市 OS

ICTにより人々が快適に暮らせる社会を「スマートシティ」と言いますが、MaaSはスマートシティを構成する重要なパーツです。

逆を言えば、MaaSの社会実装を成功させるには、スマートシティと同じゴールを見ていなければなりません。

この本ではアクセンチュアが山形県会津若松市での取り組み事例を紹介しています。

今後のMaaS情報の集め方は?

さて、ここまでの情報は過去のまとめですので、今後出てくる情報をどうやって集めたらいいか、参考までにご紹介します。

ネットニュースを読む

自動運転ラボ

自動運転に特化したニュースサイトです。
国内に限らず海外も含めたMaaSやCASE関係の情報はだいたいここで読めます。

レスポンス

自動車業界のニュースサイトです。
MaaSに限らず自動車やバイクなどのニュースがメインです。

Yahoo!ニュース

Yahoo!アカウントを持っていると、自分で読みたいテーマをカスタマイズして登録しておくことができます。
私はアプリを使っていますが、「MaaS」「自動運転」を登録して情報収集に使っています。

NewsPicks

こちらもアプリを使っています。
マイニュースをカスタマイズして使っています。
専門家や事情通の方のコメントが多いので、それも参考になります。

関連企業や省庁の動きを読む

重要なプレーヤーとなる企業のニュースリリースはチェックするようにしたほうがいいです。

自動車メーカー、自動車部品サプライヤー、交通事業者、情報通信事業者など、多岐にわたって動きを見せています。

省庁では国土交通省と経済産業省をまずチェックするのと、路線バスなどの許認可に関わる運輸局の情報もチェックしておいたほうがいいです。

キープレーヤーとなる企業と仲良くなる

MONET TECHNOLOGIES

2019年にトヨタとソフトバンクが設立した次世代モビリティサービスの提供するための会社です。

今のところ実証実験が多いですが、協力企業の集まりとしてモネコンソーシアムというものがあります。

参加企業は2020年3月時点で500社を超えており、様々な業界から名だたる企業が加盟しています。

加盟すればコンソーシアム内の最新の取り組み情報が得られるなどのメリットがあるそうです。

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